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資本政策(ウェルビー)


資本政策の事例研究として、今回はウェルビー株式会社(以下、ウェルビー)を見てみよう。資本政策にもその業種の特性が出てくることがあり、今回も研究する価値がある会社であると言えるでしょう。




1. 会社沿革

ウェルビー(Welbe)はもともと障害者の就労支援事業を始め、今では障害者の福祉サービス全般を展開する会社です。なお、医療分野でアプリやデータマネジメントを展開している株式会社Welbyとは別の会社となります。


ウェルビーは2011年9月に設立され、第7期の2017年10月5日にIPOを果たしていますが、売上や資本金等の推移は下表のようになっています。第6期(いわゆるN-1期)の売上は第2期の約52倍となっていることから、かなりのペースで成長してきたことが分かります。その一方で急成長・急拡大する場合、業種によっては運転資本が必要となり資金繰りがタイトになることがありますが、在庫や多額の設備投資を必要とするビジネスでないため、資金繰りで窮境した形跡を外部からはうかがい知ることはできませんでした。


【業績の推移】

出典:Iの部




2. 資本政策の状況

ウェルビーは会社設立後、外部からの調達を一切行ことなくIPOを成し遂げています。このため唯一の資本政策は、2016年7月1日に代表取締役の持株比率の向上と従業員への福利厚生を目的に行われたものとなります。


代表取締役は普通株式2,600千株の第三者割当増資に応じており、これにより持株比率が53.3%から67.4%へ増加しています。またこれに併せて、外部のアドバイザーと従業員へ新株予約権を発行し、IPOにより経済的な利益を享受できるようにしています。



今回は増資が少なく分析が簡単であったため、資本政策表を作成してみました(下表)。ただし簡便的な資本政策であり、潜在株式については記載していない点はご留意ください。


従業員等へ割当てた潜在株式の存在を考慮しないと、第6期(N-1期)末であっても、役員で100%の株式を保有していることが分かります。そしてIPOにより役員以外の株主がはじめて登場しますが、それでも役員の保有割合は75%超を維持しており、支配権の観点では盤石な状態と言えるでしょう。




3. Valuationの推移

ここではValuationの推移を見て行きましょう。前述の通り、2016/7に唯一の増資を代表取締役に対する第三者割当増資で行っていますが、この時PreのValuationは1.32億円でした。その後、2017/10/5にIPOをしているが、公募価額ベースの時価総額は228.3億円であり、マーケットでの初値(2017/10/5終値)ベースでは269.9億円でした。従って代表取締役の保有株式は、初値時点で約149億円の価値になったと計算されます。業績の推移で見た通り、好調な業績の拡大をしてきただけにValuationも一気に高い数値となっていることが分かります。




4. さいごに

会社設立から第7期目にはIPOしてしまうほど、好調な業績の推移を見せてきたウェルビー。障害者の福祉サービスを手掛けるため厚生労働省などからの助成金が手厚く、キャッシュフローに大きく影響を与えます。このことが外部資本を調達することなくIPOまでたどり着いたポイントとなっていることも忘れてはいけないでしょう。



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