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成長ステージと管理業務(後編)


ベンチャーやスタートアップにと事業拡大の阻害要因になることもある管理業務。阻害ベンチャーやスタートアップが効率的に管理業務と向き合う一般的な考え方を、成長ステージに沿って述べていきたいと思います。今回はその後編となります。



ベンチャーの成長ステージと管理業務の関係性(つづき)

ミドルステージ

軌道に乗った企業が一気に成長することがあるステージですが、成長の一方で管理部門を蔑ろにしたため管理部門が崩壊している企業を目にすることがあります。このため企業の成長速度に合わせ、管理部門もどのように充実させていくのか守りの戦略計画も、忘れないように考えていく必要があるステージです。


また、管理部門は他部門から書類が最後に回ってくる部門でもあるため、他の部門の協力や理解無くして適切な業務遂行は難しくなります。管理部門以外の部門にとり、管理業務に課する書類作成やタスクは面倒と感じることが通常です。従って、管理業務の必要性や意義の情報発信し定期的に行い、他部門の協力を得られるようにしていく必要があるステージでもあります。




レーターステージ

IPOを目指す企業の場合、上場後は会計ルールに従った開示が必要となるため、この時期は自社で適時適切に会計処理ができるようにしていく必要があります。タイミングによっては監査法人の監査意見をもらう必要がある場合もあり、制度会計に対応した会社組織に替えていく必要があります。


IPOを目指すことなく未上場を維持する企業の場合、制度会計よりも管理会計の方が重要なことが多いかと思います。つまり部門業績評価目的の部門損益や個人評価目的のKPIなどの情報を得るために、管理会計が必要になります。従って制度会計は重要度が低いため、役員が「月次決算の精度は7~8割の完成度で良いから、翌月3営業日で持って来い」なんて注文を耳にします。しかし本当に7~8割の精度で提出すると、その後の大きな修正が発生した際、役員から怒られるなんて追加の話も聞きますが。



さいごに

会計と言っても、社外のステークホルダー向けの「制度会計」と社内管理用の「管理会計」があるため、目的に応じて上手く使い分ける必要があります。


「制度会計」は法律・基準等で要求されるため、経理部員等が過去の経験と法律等を参考にすれば対応することが出来ます。これに対し、「管理会計」は会社の経営戦略や管理方法に基づき決めていくもので、企業ごとに目的と手法が異なります。画一的な作業を主たる業務とする経理部員の場合、企業ごとに内容を考え目的にあうようにカスタマイズする必要のある管理会計構築は、苦手であることが多いです。


管理会計構築のような専門性が求められる領域は、その部分に専門家を使うという方法がコスト・パフォーマンスに優れるでしょう。また会社のステージによっては、バックオフィス業務全体を専門家に丸投げしてしまうことが有意義な時もあります。



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