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リショアリング

コロナ禍とあいまってリショアリングという言葉が脚光を浴びるようになっています。リショアリングとは何でしょうか。また何故、今このタイミングでリショアリングが注目されるのでしょうか。

今回はリショアリングについて考えてみます。




1. リショアリング

リショアリング(Reshoring)とは、主に製造業などにおいて、海外に移した生産拠点を再び自国へ移転することであり、国内回帰と言われたりします。海外へ進出することをオフショアリング(Offshoring)と言いますが、オフショアリング後再度国内に戻ってくるUターンのため、リショアリングという命名をされたのでしょう。




2. リショアリングの増加要因

(1) 海外取引の自由度の低下

コロナや地政学リスク

新型コロナウイルスの感染拡大により物流や人間の交流が分断され、グローバルなサプライチェーンが機能しなくなりました。グローバルサプライチェーンの分断は疫病や紛争等により起こりうる問題として想定されていましたが、新型コロナウイルスにより現実のものとなりました。平時であればグローバルに展開している方がコスト面や効率面で有利ですが、過度に依存しすぎた結果、有事の際に危機対応力の低さが露わになったと言えるでしょう。主に中国からの輸入が滞ったことにより、日本の経済が機能不全と化したのです。


この結果、国内で生産できるものは海外に頼らないようにする解決策を模索する動きが出てきており、これがリショアリングを検討する要因になっていると考えられます。



(2) 人件費が拮抗

海外に工場等を設置するオフショアリングがトレンドであった主な理由の一つとして、日本国内で生産等を行うより海外に工場を移転した方が、相対的に安い労働力を得ることが出来たためです。


しかし最近は新興国も発展してきており人件費は高くなってきています。これに対し先進国は、リーマンショック以降は人件費が低下する傾向にあります。その結果、先進国と新興国の人件費の差は縮まってきており、新興国の労働力の魅力が下がってきたことがリショアリングの背景となっています。



(3) 技術革新

ロボット技術やAI関連技術の進化に伴い、高度かつ複雑な動きが可能なロボットが誕生し、単純反復作業を中心に効率的に作業やモノづくりができるようになりきました。このため先進国では、ロボットやAIを活用することにより従来よりも労働者数を減らす労働環境を構築することが出来るようになり、人件費よりも技術を活用できる場所を選択するようになっています。この技術革新も大きな要因の一つとなっているでしょう。




3. リショアリングを後押しする政策

日本政府は、2020年4月に海外生産拠点のリショアリングおよびASEANなどへの生産拠点移転を支援する補助金支給策を発表しています。予算としては、リショアリングのために2,200億円、生産拠点移転のために235億円を用意しているとのことですが、その予算規模からリショアリングが真の目的であることが感じ取れます。

2020年6月下旬および7月下旬の2回に分けて合計1,700件以上の応募があり、特に2回目は補助金予定額1,600億円に対して10倍以上の応募があったそうです。このため活用しようとする企業は、想定よりも多いようです。




4. さいごに

筆者は製造業に関連する業界に属している訳ではありませんが、技術革新による影響はあらゆる業界に共通する動きであり、非常に考えさせられるものが有ります。いわゆる単純作業がどんどんロボットやAIに置き換わっていく現実を目の当たりにしていると、自己の業務の価値を見直し、付加価値が乗るように改めていかないと生き残ることができないと恐怖を感じることすらあるのです。


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