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EXIT概論

更新日:2020年12月7日


投資とは、将来時点で資本を増加させることを目的に、現在時点で資本を投じる活動のことです。つまり将来の利益獲得が目的であるため、投資を回収するという行為は条件やスキームも含めて非常に重要なファクターです。この投資を回収する行為のうち、特にベンチャーキャピタル(以下、VC)、ファンド、エンジェル投資家および創業者が株式を売却し、利潤を獲得することをEXITといいます。


1. EXITのトレンド

EXITにはいくつか種類がありMBOやEBOなども含まれますが、もっとも代表的なものはM&AとIPOでしょう。日本では従来、会社を売却することに対しネガティブなイメージがあったためM&Aは好まれず、EXITと言えばIPOでした。


しかしアメリカ市場では90年代からIPOよりM&Aが好まれるようになり(右図参照)、その影響から日本でもM&Aは普通に行われるようになりました。最近は会社を売却することに対し負のイメージが無くなくなり、起業した時からバイアウトを目的にしている創業者も多いくらいです。



2. M&A

M&Aには多種な手法がありますが、VCやエンジェルにとりM&Aは株式譲渡のことを意味します。つまり出資先の株式を新株主に買って貰うことにより投資回収を行い、案件をクローズさせます。


VC等から資金調達するようなスタートアップがM&Aを行う場合、M&Aは100%株式譲渡となることが多いです。つまりVC等に限らず創業者や経営陣も株式を新株主に売却するため、新株主により経営方針が大きく変更されることや、経営陣が交替になることも珍しくありません。

M&Aの特徴は下記の通りである。

  • 旧株主から新株主へ交替する

  • 金銭は旧株主が受取る

  • 旧株主の受取額は、M&A時点の評価額できまる

  • 経営者が替わることがある

  • M&A後、株式の一部では売りにくい

  • 新株主の株価は次のM&Aの時に決まる


3. IPO

株式上場(以下、IPO)は一部の株式を市場で売買できるようにするものです。市場へ株式を売却する方法は二通りあり、既存株主による売却を「売出」、会社が新株発行を行う事を「公募」と言います。


IPOすると人間関係のない多数の投資家が株主となるため、IPOする前の厳格な上場審査をクリアする必要があります。またIPO後は、継続的に厳格な基準に基づくIRや外部の専門家による会計監査なども要求されます。特に基準に基づく詳細なIRを行うと、会社のビジネスモデルが丸裸にされるため、ビジネスモデルをマネするフォロワーがあらわれる等、負の側面もあります。

 

IPOの特徴は下記の通りである。

  • 既存株主から新株主へ一部売却(売出)

  • 会社も第三者割当増資(公募)

  • 既存株主譲渡額&発行株価はIPO(前)時点

  • 既存株主は残る

  • 経営者は変わらない

  • IPO後、株は売りやすい

  • 株価は市場で決まる


4. M&AとIPOを迷ったら

もしあなたがベンチャーの経営者で、M&AとIPOのどちらを目指すべきか決め手がなく迷っているのなら、ひとまずIPOを目指すことをお勧めします。

IPOを目指す過程では、内部の仕組みを構築・改善し、ミスや不正を起こしにくい会社にしていく事を要求されます。またこれにより経営意思決定のための情報も、より適時に正確に上がってくるようになるでしょう。IPOの準備をしておけば途中でM&Aに変えたとして、内部統制がしっかりしているためより高値で売却できる可能性が高くなります。



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