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従業員持株会(第3回目)


日本企業が有する社内制度の一つに従業員持株会というものがあります。勤務する会社が従業員持株会を導入していれば直接関係することになりますが、制度の内容を正確に理解している方は、意外に多くないのかもしれません。従業員持株会を従業員の立場から、2回に分けて述べていきたいと思います。





6. 従業員側からの考察


① 財産のリスクヘッジの観点

従業員は労働の対価として給料を会社からもらいますが、満額の給料が安定的に支給さるかどうかは会社の事業リスクそのものです。ここで給料から生活費を控除した余剰資金を勤務している会社に再投資すると、余剰資金までも会社の事業リスクにさらされることになります。これは勤務する会社の業績が悪化した場合や倒産した場合は、従業員の生活は非常に脅かされることになります。


これに対し、余剰資金で他の株式の投資に充てていた場合、投資していている株式を売却して目先の資金を確保することが可能となります。リスクヘッジの観点ではリスクを散らしてポートフォリオを組む方が良いとされるため、従業員持株会はリスクを集中させてしまう点で問題をはらんでいるといえるでしょう。



② 財産形成の問題点

財産形成のための手段として配当金の受取りが挙げられますが、これ自体は他の株式に投資しても受け取ることができるものです。一方で、詳しくは次の項目で説明しますが、株価の値上がり益というキャピタルゲインを得ることが出来ません。このように総合的に考えると、実は従業員持株会が財産形成としてふさわしいとは言えません。

そこで会社は奨励金を付与し、従業員持株会の魅力を向上させる必要に迫られます。換言すると、奨励金が無いと、従業員は従業員持株会に加入するインセンティブは無いのです。


ちなみに、奨励金を付与している上場会社は96.6%であり、付与率を5〜15%としている会社が約75%を占めているそうです(2017年10月東京証券取引所調査)。


7. さいごに

従業員持株会のデメリットを従業員の立場から考察していますが、今回はその前半でした。次回は後半となります。


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