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従業員持株会(第1回目)

日本企業が有する社内制度の一つに従業員持株会というものがあります。勤務する会社が従業員持株会を導入していれば直接関係することになりますが、制度の内容を正確に理解している方は、意外に多くないのかもしれません。そこで4回にわたり従業員持株会について述べていきます。今回はその1回目として、一般的に言われるメリットおよびデメリットを中心に記載していきます。





1. 従業員持株会の概要

① 意味

従業員持株会とは、従業員の給与からの一定金額の控除および会社からの奨励金の支給等を自社株式取得の資金とすることにより、従業員の自社株式を促進する制度のことです。

なお、役員を対象とする役員持株会は別の機関として運用される必要があるため、経営者である役員が従業員持株会に加入することは出来ません。



② 運営方法

従業員持株会の運営方法は、従業員の給与・賞与から一定額を控除し、各従業員から集めた資金を合計し自社株式を定期的に購入します。従業員は拠出額に応じて配当金を得ることができ、また退職時に所定の金額で保有株式を売却する仕組みになっていることが多いです。従業員持株会に加入するかどうかの選択は従業員が自由に選ぶことができ、強制力はありません。


従業員持株会を運営するにあたり、ほぼすべての企業は福利厚生の一環として一般的に奨励金を支給します。その理由は第3回目で詳しく記載します。




2. 一般的に言われるメリット・デメリット

従業員持株会は一般的に下記のようなメリットおよびデメリットがあると言われています。


① メリット

<経営者>

(1) 経営権を確保しつつ、相続財産を圧縮できる

(2) 社員の帰属意識および忠誠心が向上する

(3) 安定株主となるため、資本政策面における安定化の一助となる

(4) 株式の社外流出防止に役立つ


<従業員>

(1) 奨励金や配当金という財産形成につながる

(2) 経営参画の意識が向上する

(3) インセンティブ効果が働く



② デメリット

<経営者>

(1) コスト負担が増える

(2) 従業員への決算情報開示義務が増える

(3) 株主権を行使されるリスクがある

(4) 奨励金や配当を支払う必要に迫られる


<従業員>

(1) 流通性の乏しい株式を保有することになる

(2) 配当収入のみしか享受できない

(3) 給料と株式価値のいずれも会社の事業リスクにさらされる




3. さいごに

今回は従業員持株会について一般的に言われていることを列挙しています。しかし今回記載したようなメリットが本当に従業員持株会にあるのか疑問をお持ちの方が多いのではないでしょうか。そこで次回以降は、従業員持株会の本音について考察していきます。


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