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SPACスキーム解説


SPACを活用したIPOは具体的にどのようにして行われるのでしょうか。今回は具体的なスキームの実行方法を解説していきたいと思います。





1. SPACスキームの流れ

SPACを活用したスキームの大まかな流れは、以下の通りとなります。


① ファウンダーがSPACを設立し、スポンサーから資金を集めます。

② 事業実態が無い状態でSPAがIPOします。この時、スポンサーにワラントを付与し、投資家には株式とワラントをセットで公募します。また、SPACで集めた資金を信託会社に預けます。

③ 買収する事業会社を見つけ、買収します。

④ SPACと事業会社が合併します。




SPACがIPOしてから一定期間経過するまでは、株式+ワラントがセットとして扱われ、切り離して売買することはできません。一定期間経過すると別個に売買できるため、投資家は事業会社の買収後に株価が上がると見込まれる場合に、ワラントを行使し株式に転換します。ただしスポンサーの場合、株式は事業会社の買収完了から1年間、ワラントは買収完了から30日間譲渡することが出来ません。




2. 事業会社買収の方法

SPACのスポンサーは、買収先を探し良い事業会社が見つかった場合、企業買収を下記のように、新設会社を設立し事業会社と合併するスキームで実行することが多いようです。このようないわゆる逆三角合併が利用される理由は、事業会社の株主をSPACの株主とするにあたり手続きが簡単だからです。株式譲渡を例にあげると、複数の株主と契約を締結する必要があるため手間がかかりますが、合併の場合は全株主が一括してSPACの株主となるため手続きが楽に済みます。



被買収会社の株主へ渡す対価は、株式・現金ともに認められていますが、実務上はSPAC株式の交付を活用します。通常、SPACは多額の現金は保有しておらず、そもそも現金の流出が嫌がられることが理由と言われています。




3. SPACが集めた資金の信託

SPACは、上場により調達した資金の90%以上を外部の信託会社に信託する必要があると規定されています。そしてその信託した財産は下記の3つの事象のうちどれかが起きるまで、引き出すことが出来ません。


① 事業会社の買収が完了する

② 定款変更により株式を償還する

③ 事業会社を買収できず株式を償還する




4. 投資家への償還

SPACが人気を博した理由の一つに、投資家はSPAC株式の償還を選択することが出来ることがあげられます。株式の償還を請求できる条件は、前述の3つの事象と、SPACが解散するときとなりますが、この制度によりSPACの事業会社買収が上手く進まない場合であっても、資家が被る損失は限定的となります。なお、スポンサーが保有する株式は、償還することはできません。




5. さいごに

かつて事業会社の内側からCFOとしてIPOを目指し、今はコンサルタントとしてベンチャーのIPOを支援している立場からすると、SPACは関係者の金儲けのためのスキームという印象がぬぐえないというのが正直な意見です。

日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者が、「SPACは2000年代初頭に東京証券取引所が論議し、『裏口上場』という悪質性があることを考えると必要ないという結論が出ており、その問題点は今も必ずしも解決されてはない」と発言しています。しかしその一方で金融庁はSPACを検討する姿勢を見せている報道もあります。今後の展開が目を離せないですね。


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