CFOになるための準備や勉強方法(前編)

更新日:2020年7月6日

CFOは非常に高い専門性が求められる一方で、特定の資格試験に合格したり、特定の学科を修めたり、研修を受けたりすれば、必ずなれるというものではありません。現にCFOとして活躍している方々の経歴を見ると、会計士などの有資格者やMBAホルダーもいれば、資格などはなくとも経営企画や経理・財務の豊富な実務経験をもとにCFO業務をする人まで、実に様々です。


CFOとして、経営管理についての高い専門性(知識やスキル)が求められることは明らかですが、そのなり方は個人の資質と経験により、非常に多様性があると言えます。



CFOになるための準備ー①CFOの全体像を知る

CFOになるための準備として、まずはCFOとして求められる業務を知りましょう。下図「中小ベンチャーCFOの全体像」より、中小ベンチャーの業務は次のように8つに整理できます。

(以下、「中小ベンチャー企業CFOの教科書」高森厚太郎著を参考に執筆)

         図「中小ベンチャーCFOの全体像」

1. 全体管理

全体管理の中でも、CFOが積極的にバリューを発揮すべき業務は「理念策定」「戦略立案」「組織運営」です。CFOは、企業経営の中でも特に重要な成長戦略をCEOと一緒に立てる、あるいは立案をサポートする役割が求められ、合理的に戦略を立てることや、戦略を適切に数値化・可視化することが期待されます。


2. PL/CF改善

PL(損益計算書)/CF(キャッシュフロー計算書)の改善は、CFOの主要業務の一つです。改善策を講じるのは、CEOや外部のステークホルダー(銀行や投資家)からの依頼による場合もあれば、CFOが自ら気づいて進める場合もあります。いずれにせよCFOがリードして、CEOや外部関係者の数字的要望を確認しながら改善策を講じ、従業員を巻き込んで現実化していく役割が期待されます。



3. 組織マネジメント

組織マネジメント業務の中心は本業(商品やサービスを作ったり売ったりする業務)なので、基本的にはCOOがメイン担当者となります。しかしCOOが必ずしも組織マネジメントを十分に理解しているとは限らず、また、目の前の問題に追われてしまうこともあります。そういった時に、CFOはフレーム立案などのアドバイザリー業務を積極的に行っていくのも良いでしょう。また、中立的な立場であるCFOは、組織の潤滑油的に動くことも期待されます。


4. 資金調達

資金調達もCFOの主要業務です。Debt調達であれば金融機関との交渉の前面に立つことや、Equity調達であれば投資家との交渉の場面でCEOをサポートしながら実務面をトータルでフォローすることが期待されます。


5. 採用

中小ベンチャー企業における人財採用は、基本的にはCEOの魅力によるところが大きく、CFOがメイン担当になるケースは多くないでしょう。しかし、応募者に安心感を与えるため、面接時にCFOの同席が求められるケースはあります。採用プロセス全体の整備や、進捗管理など手が届かない部分をフォローできると、なお重宝されるのではないでしょうか。


6. 新規事業

新規事業を担うのは基本的にCEOですが、CEOがやりたいことが多すぎるような場合、緊急避難的にCFOが担当することが考えられます。新規事業のフレーム作りのような業務もできるに越したことはありません。


7. Exit(IPOやM&A)

IPOやM&Aは中小ベンチャーでは十分に起きうる局面です。Exitは様々な数字や文書を扱う非常に専門性の高い業務なので、CFOが担当するのが一般的です。CFOの手を超える高度な知識が求められることも多いので、IPO請負を生業としているような外部の専門家とタッグを組み、彼らと会社の間でコーディネーター的に動いていくようなケースも考えられるでしょう。



8. 事業再生・承継

事業再生は、企業経営における究極的な局面です。中小ベンチャーは本質的に大きなダウンサイドのリスクを抱えながらビジネスを展開しているとも言えるため、事業再生はある意味隣り合わせです。万一の場合に備えて、一通りの知識を持っているに越したことはないでしょう。


まとめると、8つの業務のうちCFOの主要業務は1.全体管理、2.PLCF改善、4.資金調達です。7.Exitについては社内ではCFOが担当するものの、求められるのはコーディネーター的な動きとなります。また、3.組織マネジメントや5.採用6.新規事業などの業務についても、CEOやCOOのサポート役として、社内外のステークホルダーや専門家との交渉や調整の役割を担うこともあるため、状況を把握する能力や適切なフォローが求められる場面があります。





執筆者プロフィール:溝上愛

一般社団法人日本パートナーCFO協会会員


日本赤十字九州国際看護大学卒業。赤十字病院勤務、医薬品開発業務を経て、現在は農業法人向け投資育成会社でコンサルタントとして農業経営者の支援に携わるかたわら、パートナーCFOとして家業(金属加工業)の事業承継支援を行っている。

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