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資本政策(Chatwork㈱)



ビジネスで使用されるコミュニケーションツールは、手紙、電報、電話、FAX、メールと種々のツールが登場してきましたが、最近はチャットというツールも活用されるようになりました。チャットはメールほど形式的な挨拶を必要とせず、会話のように手軽にやり取りできる気軽さが人気の秘訣となっているようです。数あるチャットアプリの中で、Slackと並んで人気なのがChatworkです。





1. 会社沿革

Chatwork株式会社(以下、Chatwork㈱)は、従来はホームページ集客の支援やセキュリティ事業を展開していましたが、2011年にChatworkをリリースしてからはビジネスチャット事業をメインに展開しています。Chatwork㈱の主な事業のうち、Chatwork事業はユーザー課金と広告掲載収入が主な収益源となっており、セキュリティ事業はキャノンITソリューションズ株式会社から仕入れた製品を販売する代理店として、収益をあげています。


下表はIの部に記載されている業績推移の抜粋となります。まず売上高ですが、第12期時点で559百万円であったものの、第13期からそれまでのペースとは比べ物にならない高い伸び率を見せていることがわかります。次に利益に関しては、継続的に経常損失となっており、いわゆる赤字上場となっていることが読み取れます。


【業績の推移】

出典:Iの部




2. 資本政策の状況

①外部調達

Chatwork㈱は第11期まで外部から資金調達することなく、自社内でキャッシュを回してきています。第12期になり、初の資金調達をGMO Venture Partnersから行います。その際、種類株式を活用し、株数ベースで6%をGMO Venture Partnersに渡しています。

第13期になると、JAFCO、新生企業投資、SMBCベンチャーキャピタルおよびGMO Venture Partnersから15億円を調達します。ここでも種類株式を用いて、発行株数ベースで16.67%を渡したことになります。


Chatwork㈱の資本政策を検討するにあたり重要な点は、外部から調達した第12期以降の売上の成長率が大きく向上していることでしょう。自社のキャッシュにより緩やかな成長をしていたステージと、まとまった外部資金を利用し急激な成長を成し遂げたステージとに分けることでき、外部資金を成長のエンジンとした良い例となっています。


なお、2回にわたり種類株式として発行したA種優先株式9,000株とB種優先株式は、IPO前の2019/5/22の取締役決議により9,000株と30,000株の普通株式を交付のうえ、種類株式はすべて消却されています。





②インセンティブ

2017/3/1~2019/6/19の間に、新株予約権を7回発行しています。この7回の新株予約権はすべてChatwork㈱の役員と従業員に割り当てているものであり、いわゆる無償ストックオプション(以下、SO)となります。第7回目を除き権利行使価格が50,000円/個となっていることから、発行時期や発行個数に差があれど条件に違いはなさそうです。




3. Valuationの推移

次にValuationの推移を見て行きましょう。2015/4/28に外部からの資金調達を初めて行いますが、直前期で590百万円の売上をすでに計上していたこともあり、PreのValuationは50億円(一株あたり33,333円)となっています。その後、2016/1/31に2回目の外部調達時にはPreで90億円(一株あたり50,000円)でした。また7回発行したSOは、すべて権利行使時に払込金額が50,000円/個であることから、2回目の外部調達と同額のValuationで変動がなかったことがわかります。

IPO時点では、公募価額ベースの時価総額は585.6億円(1:200の株式分割後の一株公募価格1,600円)であり、マーケットでの初値(2017/10/5終値一株あたり1,400円)ベースでは512.4億円でした。従って代表取締役の保有株式は、初値時点で約362億円程度の価値になったと計算されます。




4. さいごに

Chatwork㈱は、外部資金により成長を加速させており、外部資金を有効に活用した良い事例です。また、第15期までは赤字のままIPOしており(IPO後の第16期目には黒字化している)、赤字上場にもかかわらず公募で500億円を超える高い時価がつくあたり、いわゆるサブスク形態のビジネスモデルの特徴が表れているIPOだと考えられます。


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