資本政策総論(後編)

更新日:2020年11月9日

資金が潤沢な起業家でない限り起業直後は資金繰りがタイトであることが一般的であり、どのようにキャッシュを回していくのか考えなければならないはずです。資金が足りなくなる見込みであれば会社外から資金を調達することになりますが、資金調達の道標となるものが「資本政策」です。それでは、今回は資本政策総論の後編となります。



資本政策の立案

資本政策の具体的な立案手順は下記のようになります。注意点としては、資本政策はやり直しがきかないため、慎重に立案し実行することが大切でしょう。


(1) 事業計画の策定

可能な限り確度の高い事業計画を作成し、利益水準、資金繰りおよび設備投資等の情報を明確にする。


(2) ゴールの設定

IPOする市場に則した上場審査基準を確認のうえ、IPOした時の目標となる創業者等の持株比率や株主構成を決定する。


(3) 詳細の決定

どこから資金調達するのか、創業者利益を幾らにするのか、役員および従業員へのインセンティブをどのようにするのか、安定株主をどのように確保するのか等資本政策の詳細を決定する。


(4) IPOまでの具体的行動へブレークダウン

資金調達のタイミングと金額を最初に決め、その後各項目を決定する。

なおインセンティブとして従業員へストック・オプションを付与する場合、株価が安い時期に付与する方が従業員の利益は大きくなるためインセンティブ効果が大きいと考えられます。また相続税対策目的で資産管理会社の活用や同族間取引を行う場合も、株価が安いときに対策をはじめると、その効果が大きくなります。

筆者の経験では、ストック・オプションおよび相続対策のいずれも創業者はまだ早いと判断して行動に移さない傾向が強いのですが、これらは早い時期に行動するべきです。



資金調達の方法

資金調達手段として、普通株式、新株予約権、種類株式などのエクイティファイナンスおよびデットファイナンスが代表的です。最近はクラウドファンディングを活用するベンチャーも増えてきましたが、クラウドファンディングは契約形態によりエクイティファイナンスに属するものとデットファイナンスに属するものがあります。

ベンチャー企業の場合、いくつかの制度融資を除くと与信の観点からデットファイナンスは難しく、エクイティファイナンスが中心となるでしょう。このエクイティファイナンスは期日に返済する必要は無いというメリットがあるものの、株主としての権利を資金提供者に渡すことになります。株主の権利は、配当やキャピタルゲイン等の金銭的利益を受ける権利である自益権と、株主としての地位に基づく議決権に基づく共益権があるのですが、共益権に基づき経営にある程度介入されることがあります。



ストック・オプションの活用

資金繰りの苦しいベンチャー企業は、高額な給与や十分な福利厚生を従業員に提供することが出来ません。このようなベンチャーで優秀な役員や従業員を採用するためには、ストック・オプションの付与を検討する必要があります。


今回は資本政策概論について述べていきました。しかしどの論点も一大論点となり得るほど奥が深く、それゆえ資本政策は難しいと言えるでしょう。


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