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組織の壁(第1回)第1の難関:30名

更新日:2020年9月7日

「戦略は組織に従う」と「組織は戦略に従う」


アンゾフとチャンドラーのどちらが真実であっても、企業が継続的に事業を行うにあたり、組織づくりが重要な経営課題となるこには間違えありません。企業が成長するためには成長の段階に応じた組織づくりが欠かせず、もし適切な組織づくりができない場合は組織内は混乱し企業の成長を阻害します。

経営者の組織づくりに対する取組みや組織マネジメント方法は、その企業で働く従業員の幸福度にも大きく影響を与えるため、先を見越した組織づくりをしてきたいものです。そこで組織づくりの一般論について、全5回のシリーズとして考察していきたいと思います。



第1の難関:30名の壁

1. 組織形態

会社を設立し従業員30名程度までは、ファウンダーであるオーナーが全従業員を直接管理する組織形態となることが一般的です。組織構造も実質的な人間関係も、オーナーとその他一般従業員という関係にあり、いわゆる「文鎮型」と言われる組織形態となります。余談ですが、30名と記載していますがあくまでも一般的な目安であり、業種や諸条件により人数は変わります。


しかし30名を超える従業員人数になってくると、オーナーひとりで全従業員を管理することは相当な負担となります。従って、オーナー以外の管理職を設置し管理職業務を委譲していく必要に迫られ、中間管理職を置く「ピラミッド型」の組織構造への変更を検討することになります。

2. 顕在化する問題点

①取巻きの形成

組織形態を「ピラミッド型」へ変えずに「文鎮型」のままの組織運営とした場合、オーナーは物理的に全従業員を管理しきれなくなり、強いては組織運営が疎かになります。このような組織はオーナーとオーナーが気に入った数名が必死に仕事をする一方で、それ以外の従業員のモチベーションや能率が低い状態となります。またそのような会社では、オーナーが「従業員が働かない。」と愚痴をこぼすことがありますが、問題の根源は組織構築や職務分担を含めた動機付けにあると考えられます。


②生え抜きの経験不足

管理職を選ぶ必要に迫られると、創業メンバーから管理者を選定し管理職に就ける選択を採ることが一般的でしょう。しかし、あらかじめ管理職候補者を育てていない場合、管理職のポストに就けることはできても実質的に部下を掌握するのが難しいでしょう。創業メンバーは、事業を軌道に乗せるために目の前の業務をがむしゃらにこなす日々を過ごしており、管理職としての経験を積む余裕が無かったため役不足な事が多いです。


③外部採用の

それでは外部から新たに管理職に相応しい人材を採用することが考えられます。履歴書をもとに数回の面接を行っても、マネジメント力や企業風土への適合性を判断することは非常に難しく、うまくいかない可能性が相応に高いです。このため短期間での退職につながりやすく、採用と退職を短期間で繰り返すことになります。

あくまでも私見ですが、多くのスタートアップがこの第1の難関でうまくいかなくなるようです。ファウンダーがいわゆるワンマン経営で組織を運営させてきたため、ファウンダーが他の者に権限移譲する考えを持っていなかったり、従業員がファウンダーに権限移譲について進言することも難しかったりすることが原因だと考えられます。

この第1の難関をどのように対処すべきか、次回の記事で触れていきたいと思います。



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