種類株式概論

更新日:2020年12月2日

種類株式という言葉は一般的に聞かれるようになりましたが、その全体像を理解している人はあまり多くはないでしょう。種類株式が使われる場面は、VC等から資金調達する場合、事業承継の場合、M&Aに関する場合など多岐にわたります。このため9種類ある種類株式を全て覚える必要はなく、必要に応じて調べて行けば十分だと思います。

それでは今回は種類株式概論について述べていきます。





1. 種類株式

種類株式とは、権利内容の異なる2つ以上の種類の株式を発行した場合の各株式のことです。一方で特殊な条項が付されている株式であっても1種類しか発行されていない場合は、その株式を普通株式と言います。


普通株式はすべての株主が平等な権利を有している状態ですが、種類株式を発行している場合、種類株式間の比較では権利の内容が異なります。ただし、1つの種類株式の中で株主の権利が異なることは認められていません。


かつては株主平等原則に反するものとして種類株式は認められていませんでしたが、市場の要請に基づき種類株式が認められるようになりました。会社法第108条は、下記に列挙する9種類の権利を付した種類株式の発行を認めています。

  ① 剰余金の配当

  ② 残余財産の分配

  ③ 総会における議決権制限

  ④ 株式の譲渡制限

  ⑤ 取得請求権

  ⑥ 取得条項

  ⑦ 全部取得条項

  ⑧ 拒否権(いわゆる黄金株式)

  ⑨ 取締役・監査役の選任権


2. 種類株式の導入目的

種類株式が導入されるようになった理由は、資本調達に関する要請とM&Aや事業承継のような企業支配に関する要請に大別される。


I. 資本調達の容易化

企業へ出資する人の中には、配当金や残余財産のような経済面を重視し経営には関心のない人や、それとは逆に経営に関与することを重視する人もいます。種類株式を活用できれば、出資する人のニーズに合わせた株式の発行ができるため迅速に出資者を募ることにつながります

このように、企業経営者から資本調達を柔軟かつ迅速に行うことができる制度設計を求める声が多かったものの、厳格な株主平等主義が弊害となっていました。そこで株主平等主義を柔軟に解釈し、柔軟かつ迅速な資金調達を実現できる仕組みとして種類株式を導入するに至りました。


II. 企業支配の多様化

① 企業買収防衛策

M&Aを活用する企業経営の文化が定着するに伴い、売り手の意思に反した敵対的企業買収が行われる事例が起きるようになりました。これに併せて敵対的企業買収に対する防衛策の構築も求められるようになり、その結果、買収防衛の手段として種類株式が導入されました。

② スムーズな事業継承

非上場の会社の場合、同族経営のプライベートカンパニーであることが多く、親から子へ経営を引継ぐ際に効率的に行えるような制度上の手当てを要求する声が多く有りました。このようなニーズに応えるため、議決権制限、譲渡制限、拒否権などの権利を付した種類株式が制定され、スムーズな事業承継が可能となりました。



3. 種類株式の導入および変更方法

新たな種類株式を導入する場合、種類株式の内容、発行可能総数を決定し、株主総会の特別決議により定款を変更する決定を行う必要があります。

既に導入した種類株式の内容を変更する場合、種類株式を所有する株主による種類株主総会を開催し、そこで特別決議により手続きを踏むことになります。

株主平等原則を厳密に守るべきか、それとも機動的資金調達や会社経営が重要なのか、という観点の間で種類株式の存在が揺れていたことがわかっていただけたでしょうか。ダイバーシティを認めることが昨今とのトレンドですから、株式にもダイバーシティを認めるようになったとも解釈できるでしょうか。


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