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投資契約書のチェックポイント(前編)

資金調達を行う際に行う投資契約には、主に投資契約書と株主間契約書が登場することやそれぞれの役割等について、資金調達時の契約書(前編・後編)で解説しました。今回をもう少し進み、投資契約を締結するにあたりどのような点に気を付ける必要があるのか、述べていきたいと思います。




投資事業有限責任組合における存続期間

投資契約の内容と直接関係ないかもしれませんが、資金の出し手がベンチャーキャピタル(以下、VC)である場合、ファンドの年数や解散時期が投資の回収を決定する重要な情報になることを意識する必要があります。VCは投資スキームとして投資事業有限責任組合方式(ファンド)を採用しているケースが多く、各ファンドの残存存続期間(一般に10年)を区切りに投資およびその回収を考えています。


したがって、ファンド組成してから何年目の投資となるのか、そしてそのファンドの解散は何年後か、事前に留意する事が必要です。




投資契約書のチェックポイント

VC等と契約を交わす際、企業側が不利な投資契約を結ばないようにするために、注意すべき項目があります。その代表的な注意点を以下に記載していきたいと思います。



表明保証条項

表明保証条項は、経営者が投資家に対して記載した事項が真実であることを表明して保証する条項です。例えば下記に記載するものは一般的に記載される項目です。

・対象会社および経営者が反社会的勢力に関係していないこと

・対象会社および経営者に提起されている訴訟が存在しないこと

・計算書類や税務申告書に記載のない隠れた債務が存在しないこと


これに対し契約ごとにカスタマイズして入れる事項も多くあります。このためカスタマイズする内容や記載する文言の決め方は難易度が高く、法務の専門家を頼るほうが良いでしょう。いずれにせよ表明保証条項に記載する項目を決めるにあたり、守れない約束は保証条項に記載しないようにすることが重要です。



役員の選任条項

VCから調達を受けると、リードとなるVCは取締役を派遣したがります。VCの立場からすると投資した資金を守るために、また投資先の業績を見るためにも必要なことですが、ベンチャーの立場からすると取締役会の1議決権を持たれることは大きな意味を持ちます。


そこで取締役でなくオブザーバーにしてもらうように交渉することを検討すべきでしょう。



通知条項・承諾条項

承諾条項は、投資先企業が重要な意思決定をする場合、投資家に事前に連絡し承諾を得なければならない内容を定めたものです。


しかし企業経営者の立場からすると、事前承諾は機動的な経営の妨げになるため、承諾条項ではなく可能な限り事後的な報告で済む通知条項にするように交渉しましょう



資金使途の制限

資金使途の制限は、出資した資金が出資者の意図に沿った目的で使われるようにするための条項で、経営者が個人的な浪費や本業とは無関係な投資に使ってしますことを抑止するものです。


一方で、スタートアップやベンチャーの場合、資金調達した後にビジネスモデルがピボットして、別のビジネスモデルになることは珍しくありません。このため資金使途を厳格に決めすぎてしまうと、ピボットしようとする際、資金使途の制限に抵触して企業の生き残りの妨げになることがあるため、資金使途が厳格に決められ過ぎないような方向で交渉しましょう。




今回は投資契約書のチェックポイントの前編でした。次回はその後編へと続きます。

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