従業員持株会(第4回目)

従業員持株会を従業員の立場から、2回に分けて述べていますが、今回はその後半です。




6. 従業員側からの考察(つづき)

③ 退職時の買取金額

退職すると従業員持株会からも退会する必要があるため、保有する株式を換金します。この時の買取価格は、従業員が取得した金額で買取ることが規定されていることが一般的です。


従業員持株会は従業員の給料から天引額が唯一の収入ですが、この天引額はあらたな株式の購入に使用されるため従業員持株会内に多くの貯金はありません。また1人の従業員から月額1000円に満たない程度の天引額であるため、毎月の天引額総額もそれほど多額になりません。

仮に会社の企業価値が大きく向上している場合は、買取価格が多額となることから従業員持株会の買取資金が足りなくことが予想されます。これを回避するため、従業員の取得金額で買取ることが規定されるのです。


しかし従業員にとりこれは大問題です。会社のために働き企業価値を向上する役割を担ったにもかかわらず、向上した株式の価値を享受できないのです。これでは従業員のメリットで挙げたインセンティブ効果は、ほとんど期待できないでしょう。



④ 経営参画意識は芽生えない

実質的な目的の項目で、従業員持株会は安定株主と判断してオーナーは株式を渡していると言及しました。これはオーナーは従業員持株会が自分の経営方針に口を出されることを想定していないし、雇用者と非雇用者の関係から自分の要求通りに動くものであると考えている証拠でもあります。このような状況では従業員持株会が議決権を行使して積極的に経営に参加することは考えにくく、従業員持株会に参加しても従業員に経営参画意識が芽生えることはないでしょう。



⑤ 株式やストックオプションとの比較

キャピタルゲインを享受できる株式やストックオプションは、成功したときの果実が莫大になることがあります。したがって、インセンティブの向上を期待するのであれば、従業員持株会より株式やストックオプションの方が優れていると言えます。


ただし、株式やストックオプションは最終的に市場にて販売されることにより従業員は経済的メリットを享受できます。しかし市場で販売されると経営者にとっては安定株式から浮動株式に代わることを意味するため、この点が経営者にはデメリットになります。




7. さいごに

従業員持株会のメリットおよびデメリットについて、一般的にいわれることから本音まで立場を分けながら記載していきました。上場会社の多くが導入している従業員持株会ですが、終身雇用制度が前提だった時代の風習なのかもしれません。


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