希薄化防止条項キラー



希薄化防止条項を理解すれば、ダウンラウンドになっても既存株主は大船に乗った気分でいられるものでしょうか。日本のスタートアップ界隈では希薄化防止条項が既存株主を守ってくれることが多いでしょう。しかしアメリカではそこまで単純ではないようです。その理由を見て行きましょう。




1. Pay to Play条項

希薄化防止条項とは、新規発行がダウンラウンドで行われる際、既存株主の経済的損失を回避または軽減するための条項です、との説明を以前のブログで記載しました。

しかしアメリカでは、既存投資家は希薄化防止条項があるから枕を高くして寝れる、なんてことにはなりません。なぜなら、新規投資家がPay to Play条項という条件を付してくる可能性が有るためです。


Pay to Play条項とは、今後の新規ラウンド時に出資に応じない場合、優先株式の優先権が失われる旨の定めのことです。これは、新規投資家がダウンラウンドになることを見越して希薄化防止条項に対抗するための手段であり、「既存投資家は今回のダウンラウンドでも更に出資しなさい。出資しない場合は既発行の優先株主の権利を放棄しなさい。」と強制する条項です。これより優先株式が、普通株に強制的に転換されるか、希薄化防止条項のない優先株式へ転換されることが一般的です。




2. ダウンラウンドとなる意味

ここでダウンラウンドでの新規発行をする事の意味を考えておこう。これはベンチャー企業であれば、ある程度の実績が積上がりビジネスの実態が見えてきたため、想像で作成していた事業計画を下方修正する必要に迫られた場合などが該当します。スタートアップが作成する事業計画はバラ色の右肩あがりとなっていることが多いですが、あまりに強気につくりすぎたときに陥るワナとも言えるでしょう。


このようにダウンランドの必要に迫られるベンチャーは新たな資金調達に苦労します。これは新規投資家との条件交渉の場では、相対的に投資家の方が有利な立場にあるため、資金調達しないと生き残れないベンチャーはPay to Play条項を受け入れても資金調達をするでしょう。これが「後出しじゃんけん」的な印象のあるPay to Play条項が付されてしまう理由です。その結果、既存株主は希薄化防止条項を失うこと事になるのです。




3. さいごに

日本ではあまり馴染みのないPay to Play条項ですが、希薄化防止条項とセットで覚えておくと良いかもしれません。この条項が日本に本格導入される日が来るかもしれません。



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