好き嫌い人事の行きつく先

企業の経営戦略に関する一般論として、「失敗する企業の経営には一定のパターンがある」と言われることがあります。コンサルタントとして多くの企業を見てきた経験から、この意見に共感を覚えます。ではどのような会社が失敗するのか、ひとつの典型的な転落パターンを見ていきましょう。





1. ダメな会社

まず、ダメな会社な会社についてですが、ダメな会社は業績が悪い会社と同じではありません。仮に業績が悪くても問題意識を持ち原因を見つけ改善策を考えることができる会社は、ダメな会社ではありません。ダメな会社とは、下記の会社であると筆者は考えています。


会社の問題点があってもそれを議論できない会社


ダメな会社の従業員は、問題点に気が付いても社長に話そうとはしません。では会社の従業員は何故、このような行動になるのでしょうか。それは次章で説明する転落パターンを踏むことが多く、問題点など発言すると社長に目を付けられ自分の立場が悪くなるためです。一方で、会社が良くなっても自分に直接的なメリットはなく、社長のご機嫌を取っているほうが遥かに得るものが大きいため、何もしない選択を取るのです。




2. 転落パターン

ダメになる会社の典型的な転落パターンは下記のようなものがあります。社会人経験の長い方は、思い当たることがあるのではないでしょうか。


  1. 公正な評価がなく、社長による好き嫌い人事がすべて

  2. 社長の周りにはイエスマン&腰巾着が固める

  3. 優秀な人材や意見を言う人材は対立して退職する

  4. 取り巻きは固定的となる

  5. 社長の言うことを絶対服従の傾向となる

  6. 正しい判断がなくなる

  7. 社長と取り巻きを見て、スタッフ層の退職率が高くなる

  8. 業績が悪化


転落パターンの諸悪の権化は、社長の「好き嫌い人事」にあると指摘して良いでしょう。そうは言っても、好き嫌い人事を完全に排除できる会社はこの世に存在しないので、要は程度の問題です。MBOやバランススコアカードなどを用いることで、極力人事評価を定量化しようと努力しても、好き嫌い人事は必ず入り込むものです。


好き嫌い人事の顕著な例は、誰が見ても能力が低いのにゴマすりが重宝させるケースですね。このような人事をされると、職場の雰囲気は一気に悪くなりますね。そこで最も肝心なことは、「意見の対立と感情の対立は別物」を理解し、意見が対立したときその意見に耳を傾けられる社長であるのかどうかだと思います。


好き嫌い人事を行うと、イエスマンが社長の周りを固め、自己の意見をもつ優秀な人材が退職します。こうなると社長に意見する人がいなくなり、社長の意見が絶対的となり間違えでも正しくなる、いわゆる「黒でも白い」と言われる状態になります。




3. よくある兆候

では会社でどのような事例が転落パターンに陥っていると言えるでしょう。いくつかの例を下記に記載してみます。


・会議は社長だけがしゃべっている。

・取り巻きは社長の前には絶対服従し、社長の陰では悪口を言う。

・社長は他の者を意見は聞かないため、ブレインストーミングは成立しない。

・社長は自分の責任は認めない。

・従業員には会社への忠誠心をやたらと求める。


社長の皆様、思い当たることがあるようでしたら、振る舞いを改善してみてはいかがでしょうか。




4. 改善方法

一番効く改善方法は社長がマインドを変え、イエスマンのみでなく異なる意見を言う人間を認めることです。

しかしこのような社長が会社内部の声から変わるケースというのは見たことがありません。変わることがあるとすれば、会社が再生になり経営責任を問われるような場合、買収され親会社からの経営指導を受けた場合などで、いずれも外部の社長より立場の強いものから圧力がかかったときのみです。

換言すると、会社内部から会社の体質を変えることはできませんので、そのような試みは無駄なのでやめておきましょう。自分の立場が悪くなるだけですから。

一番おすすめの解決策は、自らが起業して社長になることです。




5. さいごに

権力の座に長年ついていると誰でも横柄になっていくと言われます。そして魚は頭から腐ると言われるように会社も政府もトップが諸悪の根源となっていくのでしょう。

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