ビジネスをしている人であれば、常連客の大切さは身に染みて理解できているでしょう。常連客は繰り返しサービスや商品を購入し、継続的に売上に貢献してくれるからです。換言すると、リピーター(常連客)をつかむようにビジネスモデルは組み立てる必要があると言えます。では、今回はリピーターについて考えてみましょう。
1. ストックモデルとフローモデル
ストックモデルとフローモデルについては別の機会で触れているためここでは深く言及しませんが、リピーターが大半を占めるビジネスモデルがストックモデルと言えます。経営者目線に立つと、自社サービスを極力ストックモデルへ近づけ、経営の安定化を図りたいという誘因が常にあるでしょう。では具体的にどのようにストックモデル化するのでしょうか。

2. ストックモデル化への施策
① サブスク
毎月一定額の会費を払えば一定のサービスや製品が毎月受け取れるサブスク型のビジネスモデルが最近のトレンドになっています。サービスや製品は1社で行うこともあれば、複数の会社が協力して提供できるものの魅力度を上げる努力をしていることも有ります。
いずれにせよ、毎月の会費を払う契約形態にして継続課金制度とすることがポイントです。
② ジレットモデル
これは髭剃りで有名なジレットから付けられた名称で、顧客を継続的に引き留めるために考えだされたモデルです。
まず、髭剃り本体は価格を抑えて販売し、本体を気軽に購入してもらいます。各髭剃り本体には専用の替え刃しか使えないような仕組みとなっており、本体購入後は高い価格に設定された専用の替え刃を買う仕組みとして、利益を稼ぐようにしています。
これは別の本体を購入するには新たな出費が必要となるため、これを嫌い、同一製品等を継続利用する心理を突いたビジネスモデルです。
コピー機のトナーやネスレのエスプレッソマシーンも同じビジネスモデルです。
③ 顧客動線をコントロール
実際にコンサルしたことのある病院では、病院が原点となるサービスであるものの、来院する患者は高齢者が多いことに着目し、病院のそばに高齢者施設や老人ホームをつくっています。病院で受診した診断結果により高齢者施設等へ入る必要がある場合、まずグループ内の施設を紹介しており、またそこでの介護や訪問看護等で利益を増やします。その上でグループには葬儀屋まであり、万が一の場合は葬儀まで執り行うことができます。このように一度来院した患者へ繰り返しサービスを提供する仕組みを構築しLife Time Value(以下、LTV)を高めることに成功していました。
このグループのオーナーが注目するKPIは、サービス群に流入する患者数(病院の新規受診患者数)とサービス群から流出する患者数でした。サービス群への流入が多ければ、提供しているサービスのどこかでマネタイズできていると、非常にシンプルなKPIで管理できる体制としていました。
3. 失敗例

CFOコンサルをしている過程で直接目にしたことがある失敗例を一つあげます。
このベンチャーは高齢者を対象にしたサービスを提供することで、新たなビジネスを立ち上げようとしており、また資金調達も計画していました。しかし一度サービスを利用すると、2度目の利用が全く見込めないサービス内容であるという問題点を抱えていました。
したがって、資金調達を目的にベンチャーキャピタルをまわっても、良い回答をもらうことができません。
そこでシェアリングCFOとして壁打ちを行い、高齢者のみでなく若者が人生の節目に利用できるサービスへ変更してもらいました。これにより卒業式、結婚式、子供の誕生などの機会でも利用する可能性があるサービスとなり、一度サービスを利用した顧客がその後も継続的にサービスを利用する可能性が広がります。
このように1人の顧客にリピートしてもらうことにより、LTVを高めると会社の収益性は高まります。
4. さいごに
ビジネスの立ち上げ当初は目先の売上を上げることに必死ですが、多少スケールした後はビジネスモデルをシフトしてリピーターを増やすようにしてみてはいかがでしょうか。必要であれがエキスパートCFOでお手伝いいたします。
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