高いデザインセンスを武器に家電を販売することで有名なバルミューダ社。筆者もオーブンやスピーカーが欲しくてたまりません。そこで今回はバルミューダについて調べてみました。

1. 概要
2003年3月に有限会社バルミューダデザインとして東京都武蔵野市に設立され、株式会社に組織変更後、2020年12月16日マザーズに上場した当社、差別化されたデザインを特徴に高付加価値の商品を販売する会社です。
ドイツに販売会社(BALMUDA Europe GmbH)があり、日本のバルミューダ株式会社(バルミューダ社)2社でバルミューダグループを形成しています。
IPO時に、会社の強みを下記のように説明しています。
独自性1:自由なアイディア
独自性2:高いコミュニケーション能力
独自性3:実現するための組織とワークフロー
独自性4:バランスの良い販路構成
2. ビジネスモデル
バルミューダのビジネスモデルを簡単に説明すると、「製品を企画し、販売する会社」となります。
つまり、バルミューダグループは製造工場を保有しておらず、国内外の製造委託先から製品を仕入れています。(下図参照)。そのうえで仕入れた製品をエンドユーザーへ直販もしくは家電量販店等の販売チャネルへ販売するビジネスモデルとなります。マザーズ市場へ上場時のⅠの部に記載された事業の系統図は下記のようになっています。

3. 製品ラインナップ
製品ラインナップは、空調関連、キッチン関連、携帯端末関連、その他に分類されるようですが、下記の様なラインナップがあります。最近はバルミューダフォンが色々と話題にもなりました。

4. 財務情報
BSで目立つのは、売掛金と買掛金、商品および製品、工具器具備品あたりでしょう。
PLは一般的な製造業の内容であり、それほど目を引く点がない印象です。
① 運転資本管理
ビジネスモデルの構成上、家電量販店等の販売チャネルに対する売掛金(2021年12月31日時点連結総資産に占める割合48.9%)が、また製造委託工場に対する買掛金が多額に発生します。商品等についてはその金額から、家電量販店等にあり売れる前の在庫はバルミューダの所有物である可能性が高そうですが、総資産額の23%(2021年12月31日時点連結BS)にもなります。
これら売掛金・在庫・買掛金を考慮すると、運転資本が常に一定額発生するため、販売予測と借入金により資金ショートしないようなキャッシュマネジメントに神経を払う必要がありそうです。
② 工具器具備品
工具器具備品の取得額が多額にあることから(減価償却後の簿価は低額となります)、製造に関しては工場に委託するものの、金型はバルミューダが開発のうえ所有していると推測されます。
5. 資本政策
バルミューダのIPOまでの資本政策はシンプルな内容です。ただし、公開されている情報ではすべてを把握できないため、一部の箇所で個人的な推測が入っている点はご留意ください。
まずファウンダーである寺尾玄氏が、100%出資により会社を設立します。その後、時期はわかりませんでしたが第三者割当増資を行い、寺尾氏の持株比率は92.3%になります。
役員および従業員へストックオプション(SO)を発行およびIPO前の調整として株式分割を経てIPOしています。

IPOにより、公募で1,235,000株増加し、寺尾氏が売出しで200,000株およびオーバーアロットメント(OA)で215,200株を市場に放出した結果、寺尾氏の持株比率は72.2%となっています。
上場直後と2022年4月時点の主要株主の持株比率を比較しても、持ち株比率に変動は見られず、主要株主が株式売却により利益を確定させるような動きはなさそうです。

このように資本政策を振り返ると、資金需要がそれほど高くなかったのか、資金調達面での苦労はそれほど辛くはなかったように見受けられます。
6. さいごに
デザイン力をコアコンピタンスにして成功したバルミューダは、日本の製造業では稀有な存在と言えるでしょう。これからもワクワクする製品を作り出してもらいたいものです。
#Expert-CFO #シェアリングCFO #資本政策 #IPO